おかげさまで手仕事ファクトリー「遊牧民からまなぶ羊毛文化」も中盤を過ぎ残すところ、あと4日となりました。
天候不順のなか遠くからお越し頂きありがとうございました。
2月11日は午前11:00よりレクチャー「遊牧民に欠かせない道具としての毛織物」を午後からはキリム織りのワークショップを行いました。
先ずはトークの内容からご紹介いたします。
<手仕事ファクトリー> 2月11日 第2回
~遊牧民からまなぶ羊毛文化~
☆ 遊牧民に欠かせない道具としての毛織物
Ⅰ.遊牧民の代表的な毛織物 機能分類 <部族の絨毯.・キリム=Tribal Weaving>
西・中央アジア〈アフガニスタン・コーカサス・イラン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・トルコ〉には、遊牧系の先住部族が大昔から生活してきました。
移動という生活においては、必要不可欠のモノしか所有できませんが、丈夫で長持ちする毛織物は遊牧民に欠かせない道具です。
<生活の道具としての毛織物>
生活の道具としての毛織物
1. 敷物― 絨毯 (毛足のあるもの)
◆メインラグ・・・テントの中の主要な部分に敷かれる毛足のある毛織物。
部族絨毯を代表するいわゆるトライバルラグ。世界中のマニアやコレクターによる収集がここ30年で進み、このところ現地からはオリジナルの古くて状態の良いラグを見つける事は難しくなっていいる。ほとんどは欧米のトライバルラグディーラーやコレクター、オークションハウス、美術館などが所有している。
◆祈祷用絨毯・・・イスラム教徒の祈祷の時間に下に敷かれたり、室内の壁に掛けられたりする。
 バルーチドクトレカジィプレイヤーラグ |
 エルサリベシールプレイヤーラグ |
祈祷用絨毯=ジャイェナマーズはを織る部族や地域とほとんどない部族地域に分けられそうだ。
先ずはイスラム美術の範疇にある、ミフラーブ(メヘラビ)などのイスラム寺院そのままを表現したタイプ。
遊牧系部族は携帯用の小型(一人分)サイズで、バルーチ族やトルクメンのベシールやコーカサス地方、トルコ東部などが代表的である。
◆テントの外用絨毯・・・ ギャッベ、ジュル、ジュルヒュールなど毛足が長く防水、防寒性の高いパイルの敷物。
 カシュガイ ギャッベ |
 カシュガイ ナチュラル ギャベ |
 アラブ ジュルヒュー |
 アラブ ジュルヒュール
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日本でも有名なギャッベだが、テント内にの敷物と同時に夏のキャンプ時の野外用敷物(敷き布団)として使われる事もあるようだ。同様のプリミティブなラグがウズベキスタン~アフガニスタン国境付近のアラブ系部族の織る後染めの珍しいラグがジュルヒュールである。トルコにもジュルと呼ばれる同様のラグがあり、モロッコベルベル族にもBOUCHEROUITE(ボシャラウィット、ブシャラウィット)という同様のラグがあるようだ。最近はこのようなプリミティブラグに人気が集まり、特に込み入った柄を好まない日本では人気が高い。
キリム(平織り)・・・テント内を広く覆うための敷物で綴れ織り、縫い取り織り、スマック織り、紋織り等。屋外で茣蓙的に使われる事も多い
 ベルベル ハイアトラス グラウィーキリム |
 シャーセバン ハシュトルード キリム |
 アフガン ハザラタルタリー キリム |
 イラン ショシュタール キリム |
日本でもなじみの深いキリムだが、トルコ以外にもモロッコ、コーカサス、イラン、アフガニスタン、ウズベキスタン等など世界中に味わいの深いキリムが存在している。
◆ソフレ・・・ダイニングソフレ食卓用敷物(細長く中央は無地が多い)…食事の時敷物が汚れないように敷く。ラクダや黒羊の毛織物。
 ホラサーンクルド キャメルソフレ |
 ホラサーンバルーチ キャメルソフレ |
◆ナン包み用(正方形で房の無いもの)・・・主食のナンが冷めたり、乾いたりしないための保温保湿用布
 カモ村 ナンソフレ |
 アフシャール ナンソフレ |
食事のときに広げられる細長いソフレとナンを包んだり捏ねたりするナン用ソフレの2種類に分かれれるが、このソフレも限られた地域や部族に見られる。
ダイニング(細長い)ソフレはイラン北東部のクルド族~バルーチ族などが多く、正方形のナンソフレはアフシャール族やイラン中西部のカモ村など特定の地域や部族に織られることが多い。
(続く)
ワークショップの内容はこちらからもご覧いただけます。