気軽に見て楽しめるキリムの使ったインテリア洋書や国内のムックをはじめ、テキスタイルアートの研究家による専門書まで、キリムやトライバルラグをお好きな方なら、是非一度はご覧いただきたいものを厳選してご紹介しています。
定番のおすすめ書籍
数多い欧米の専門書のなかで個人的な思い入れのある本を紹介していきます。どの本も、綿密なリサーチ、美しい写真、そしてキリムやラグ、テキスタイルに対するあくなき愛情に満ちた本です。アマゾンへのリンクも出来ますので、興味のある方は御利用下さい。
また、こちらにお譲りできる本もありますので、お問い合わせ下さい。

The Textile museum Washington DC Edition Jon Thompson &etc.
ワシントンにあるテキスタイル美術館が展覧会の図録として編集したトルクメン絨毯に関する専門書。
この図録では定住しているトルクメン族によって織られた絨毯群をブハラカーペットとして分類している。同時に遊牧トルクメンの特徴的な絨毯・袋物・婚礼用の道具など等をどれもが名品といえる素晴らしい内容のものを紹介している。巻頭には美術館での展示らしく民俗学的なアプローチがまとめられ、かつての遊牧生活の様子などを紹介している。巻末では染料を化学的に分析する等、これ一冊でトルクメン学を習得できそうな内容になっている。最近は絨毯本ばかりを取り扱う、専門書店にも無いらしく入手は難しくなっているようだ。
この本は以前借りていた世田谷区の事務所のビルの隣にあった中古レコード店に入った時に入手したものである。値段も考えられないほどリーズナブル。こんなことが有り得るのかというぐらい不思議な話だが、絨毯ではなく絨毯本が飛んできたということなのだろうか・・・。

LIVING WITH KILIMS・・・Alastar Hull&Nicholas Barnard共著 1988年初版
ロンドンのThames&hudson社から出版されているインテリアとしてキリムを楽しむ決定版。 何度見ても見飽きないキリムのインテリアとしての実用例が床・壁そしてユニークな使い方をふんだんに見せてくれる。 おそらく実際のコレクターや愛好家のお宅をまめに訪ねて時間をかけて撮影したのだろう。 一枚一枚のキリムも素晴らしくまた、使い方のセンスとアレンジの妙はさすがというしかない。 キリム以外の調度品も圧巻で、椅子・絵画・デコレーションにも行き届き見るたびに新発見がある。 著者のAlastar Hull氏はのちに「Kilim conplete guide」というキリムについての総合書を出すほどのキリム通でもある。

Living With Decorative Textiles: Tribal Art from Africa, Asia and the Americas・・・Nicholas Barnard&James Merrel(photo)著 1989年初版
Living with Kilimsとほぼ時を同じくして出版された世界の手織り布をインテリアにアレンジした実例集。世界各地の布の紹介とそれらをどのように楽しむかを,、余すところ無く美しい写真とともに紹介している。キリムを床に敷いて壁には布をかける。単純なようだがそこには住まい手のセンスや教養などの様々な情報が見て取れる。どの空間からも伝わってくるのは住まう人がいかにキリムや布を知り、それを気に入っているかだ。だからこそ見る側も楽しくなり、そんな空間に憧れる。それにしてもアジアやアフリカ、中南米の布やキリムはなんと欧米諸国に親しまれていることか・・・・。

Carpet magic・・・Jon Thompson著 1983年初版
この本は1983年Londonにて行われた展覧会の図録としてまとめられたものである。絨毯についての世界的な絨毯研究会”ICOC”がロンドンで開かれた記念の展示会のためにまとまられたが最初。後に「the art of carpets from tents cottage and workshops of Asia」という長いタイトルが付いた本として正式に出版される。この2冊の本はテキストの内容はほぼ一緒(一部追加)だが、中の写真はかなり違っている。図録として出された「Carpet magic」には紹介されている絨毯やキリムの写真の末尾にそれぞれ誰がコレクションしたのか、所有しているのかのクレジットが付いている。内容は長くなるのでここでは触れないが、絨毯好きとして最も影響を受けた本であることには間違いない。じゅうたん好きの仲間と一緒にメインの部分を翻訳したので、いつか紹介してみたい。

Baluchi Woven Treasures・・・Jeff W Boucher コレクション1989年
コレクターの中のコレクターと評されるBoucher の例を見ない今後二度と出来ないであろうコレクションである。世界中の部族絨毯マニアの間でもこれほどのコレクションは最初で最後だろうといわれている。バルーチマニアとしては大変に複雑な気持ちになる本である。30年位前ならこんなに素晴らしいバルーチがあったのか・・・。という落胆とこんなに素晴らしいものを知ることが出来るだけで幸せ。という思いである。とにかく凄い、実物を見てみたい。の世界である。このコレクションを支えたのは、欧米に於ける「Tribal Rug Feaver=トライバルラグ熱」の高揚と、それを過熱させた「HALI」「Oriental Rug Review」などの雑誌や有名な「アリババクラブ=Hajji Babas Society」などの愛好者クラブによる啓蒙活動がリンクしていたからに他ならない。ああ羨ましい…。奥深く、神秘的、洗練されながらも野蛮なにおいするバルーチの世界を堪能できる一冊です。

遊牧民に魅せられて・・・~松島きよえコレクションの染織品と装身具~ 文化服飾博物館図録
故松島きよえさんは、1994年にインドを調査研究に訪れている際にバスの事故により亡くなられました。
このコレクションは彼女の死後数年経ってから、彼女を慕う人々の熱い思いと協力により文化服飾博物館という絶好の場所にて開催された貴重な展示会の図録です。松島さんはまさに遊牧民のように西南アジアからトルコ~アラブ世界を駆け回り、御主人がWHOのドクターというフリーパスポートを駆使してフィールドワークと染織品の収集に人生を賭けた方です。
この地域のキリム・絨毯、民族衣装に関する日本語で書かれた本が少ないだけに貴重な資料です。同時に松島さんがフィールドワークのなかで書きとめた取材ノートなども興味深く、彼女の足跡をたどれます。
ちなみに1988年には渋谷の松涛美術館で「中近東の染織」という展示会をされ多くの敷物コレクションが展示されたのですが、そのコレクションは東京博物館のアジア館が収蔵しています。

西アジア・中央アジアの民族衣装 -イスラームのベールのもとにー 文化出版局 文化学園服飾博物館編 2006年発行 ¥1905
当時服飾博物館の館長をされていた、シルクロード染織の第一人者道明美保子先生を中心に手仕事系の雑誌で伝統のある「銀花」編集部の田原さん、博物館学芸員の村上さんなどが協力して出来上がった服飾・染織を知る絶好の入門書といえるでしょう。
この背景には文化服飾博物館がパレスチナ・ヨルダンなどの民族衣装の優れたコレクションと松島コレクションなどを所有していることと、この地域の専門の研究者の存在があげられるはず。
また2001年の9.11以降に起きたアメリカを中心とした欧米地域とイスラム圏の対立構造、次いで起きたアフガン空爆~イラク戦争により日本でもイラクやアフガンの悲惨な状況が連日報道され、多くの日本人がイスラム圏とは何なんだろう?「テロリストの本場でいつも戦争している国?」という偏った情報しか流れてこない。
そんな多くの人々にイラクでは、アフガニスタンには、パレスチナにもこんな素晴らしい染織文化が存在してた?のに・・・。
ひとりでも多くの人がこの本のなかにある美しい手仕事を見て「イスラムのヴェールのもとに」何かを感じてくれるのではという思いがあったのではないでしょうか?コレクション、解説共に内容のあるお奨めの一冊です。

絨毯とタピスリー・・・読売新聞社 1985年
当時としては画期的な企画だったと思われる、大手新聞社から発行された豪華な雑誌です。
バブル到来の先駆けとなる時代背景から、驚くほど高価であったペルシア絨毯からトルコ・アフガン・コーカサス・中国・ヨーロッパなどの地域別に有識者の情報を解りやすくまとめてある。今からみると少し恥ずかしくなるようなロマンチズムもあるものの、当時は平和だったアフガニスタンの写真や平山画伯、故井上靖氏によるシルクロード対談なども懐かしい。特に印象に残ったのは、当時の英国大使の公邸のインテリアで和紙のランプに和箪笥。壁にはアンコールワットのレリーフのモノクロ版画、敷物はマーシュアラブの刺繍布というなんとも折衷なものであり、この強烈な印象は今までにまったく触れたことのないエキゾチズムであった。
また当時の文化人を代表する一人、大島渚監督の和室に敷かれた大型の和段通の深い藍色も印象的。

The Sofreh of KAMO・・・Parviz Tanavoli 1998年 Farhangsara Publication IRAN
イラン人ではSayrus Pharham氏と並んで部族絨毯研究者として名声を博しているParviz Tanavoli氏が彼を一躍有名にした名書「Bread & Salt=塩入れ袋とナンソフレ」の後に出版したのが 「The Sofreh of KAMO」です。
この本はイラン中央部から西部に連なる山裾の村KAMO地方で織られたアーティスティクなソフレだけを44枚集めている。Karkas山からの雪解け水で潤う小さなこの村は、日本で喩えたら長野県の小布施村のその奥にあるような情緒ある田舎の村という雰囲気であろう。近くにはこのところイラン人の間でも観光名所となっているAbyane村があり、その周辺はイランの、のどかな伝統的村々の雰囲気を保っている。
評判になった「Bread & Salt=塩入れ袋とナンソフレ」では、塩袋のコレクションが圧倒的で、ソフレは少し物足りなさを感じたのだが、Tanavoli氏もあたりは重々承知でこの本の企画制作に望んだのではないかと思われる。同時に当時大ブレイクしていた、Z社の「ギャッベ」に変わる新たな仕掛けとも読み取れなくはない。いずれにしても、オリジナルの「The Sofreh of KAMO=カモ ソフレ」は大変に面白く、個人的にも大好きなキリムである。
この本が出版されるやいなや、テヘランのマーケットから忽然と姿を消したThe Sofreh of KAMOは今頃何処にあるのだろう。
Tanavoli氏も解説の最後にオリジナルの「Sofreh of KAMO」は100枚から最大でも200枚程度しかないだろうと記している
。

SEVRUGUNIN`S IRAN1999年 Barjesteh Zaman IRAN
サブタイトルに「オランダのライデンにある国立民族博物館所有の19世紀のイランに於ける写真集」とある。その名のとおり、ANTOIN SEVRUGUNINというカメラマンによって記録されたイランの記録であり、もちろんすべてはモノクロであるが、圧倒的存在感のある人々が写しだされている。
目次だけでも十分に堪能して頂けるのではないだろうか・・・?
1.個人とグループによる肖像(カジャール時代の王様や王族、親戚などのポートレイト)
2.ダルビッシュの肖像(イスラム神秘主義者の修行僧ダルビッシュのポートレイト)
3.乞食や貧者の肖像(旅芸人や動物使いなどのポートレイト)
4.日々の生活の記録(農村・遊牧民・バザール商人・物売り・阿片窟・絨毯織り)当時のイラン人の暮らしぶり。
5.異教徒・異民族そして異国からの人々の記録
(Chaldese=アッカド人、ゾロアスター教徒、ユダヤ人、アフガン人、クルド人、シャーセバン族、ルル人、トルクメン人などなど・・・。)イランに於けるマイノリティーの肖像。
6.町、村、そして山の風景写真
この本は和光大学のバローチ研究者の村山先生からお借りしている貴重な本ですが、最近イランで入手できるようです。
民族・旅・民俗・衣装・歴史・建造物・絨毯などなど・・・様々な見所たっぷりの写真集です。