新企画【手仕事ライブラリー】スタートします。at横浜エスニカにて。

明日22日(土)より30日日曜日まで、横浜青葉台中国家具の店エスニカさんにて【手仕事ライブラリー】
スタートします。
本日紹介する為の書籍や映像資料を搬入してきました。
今回参加するのは『手仕事フェスタ』メンバーのIMDOMOYOOGURA・FUNNYFACE・KOKARIETHNICA&TRIBE
の6人の仲間です。
それぞれ専門分野の手仕事や現地などで入手した貴重な映像や書籍などが集まって来ました。

アジアを中心とした【手仕事世界の資料】がこれだけそろう事も、これまではあまり無かったかもしれません。
特にインドテキスタイル関係の書籍はとても充実しています。
また書籍に登場する布・民族衣装・家具・絨毯などの実物が周りを取り囲み、じっくりと裏を返して見たくなれば
微妙な感触や、肌触り、匂い、風合い、座り心地などを確かめられる・・・。
今までに無かった、ユニークなサロン風空間が出来上がりました。本場中国茶のサービスもあります。

書籍は100点以上ありそうですが、その一部はこちらからもご覧いただけます。インド関係書籍 中国関係書籍

会期:2011 10/22(土)~30(日) 時間:12:00~19:00
会場:横浜市青葉区桜台25-5桜台ビレッジ1階 電話:045-983-1132
【トーク&座談会行います。】
明日第一回22日17:00~ *動画サイトyoutubeで見られる世界の手仕事
  第二回29日17:00~ *娯楽映画に登場する世界の手仕事

詳しくはこちらからもご覧いただけます。エスニカホームページ

見て・聞いて・触って楽しめるアジアの手仕事ライブラリーです。
秋の夜長を過ごしてみませんか?

こちらで紹介&販売する書籍の一部です。

tribal rugs J.Opie tribal rugs P balich collction
carpet magic  J.thompson Koekboya H.bommer colors of indus V&A musseum
living wuth kilims N.barnard living with decoratine textiles z

詳しい解説はこちらから。書籍紹介 http://www.jutanya.com/book/

円高の今こそ洋書購入チャンスです。一点ものが多いのでお早めに!!!。

読書の秋を前にお勧めの本。

いよいよ涼しくなり、絨毯やキリムの季節となりました。
秋の夜長は、じっくりと書籍や写真集などを楽しむのに最適ですね。

幾つか新着の本の紹介をていきます。

まずは、Brian W. MacDonald著『Tribal Rugs ~Treasures of the Black Tent~』です。
この本はイギリスで出版されている、アンティークコレクションシリーズの第5弾として出版されましたが
当初から出版部数が少なかった事と、1990年代のトライバルラグブームにうまく乗った事もあり
数年で在庫切れとなり、その後暫く$300程度の高値が続いていました。
もちろん内容も充実していたので、再販が待たれていましたが昨年あたり再販されたようで
AMAZONなどでも一気に買いやすくなりました。

初版本 TRIBAL RUGS ツ黴€再販本 TRIBAL RUGS
ツ黴€左:初版本 表紙の絨毯はコーカサス絨毯 ツ黴€右:一昨年の再販、表紙はカシュガイーギャッベ

表紙が違うとまったく違った印象になります。

この本は部族絨毯のバイブルJAMES OPIEの『TRIBAL RUGS』の後に出されましたが

OPIE氏の本が、文様を切り口に編集されているのに対し、こちらは民族学的な部族の移動や

部族構成を紹介しながら部族絨毯の面白さを紹介しています。

シャーサバンの移動マップ ツ黴€カシュガイ族の部族構成
ツ黴€シャーセバンサブトライブの移動マップ ツ黴€カシュガーイ族の部族構成(タイフェ)

両方ともかなり民族学的なイラストですが、左はそれぞれの部族のサブトライブ(支族=タイフェ)の移動範囲を
詳細に表しています。色分けされていてわかりやすいです。
右は代表的な遊牧系部族をさらに細かく部族分類している構成図です。上はカシュガーイ族の例ですが
大きなアシャイーレ(部族)からタイフェ(支族)さらにティーレ(大家族)へ、また更なる家族へという、家系図的な
分析をしています。こうなるとかなり民族学的な内容です。

最近かシュガーイ族のギャッベ絨毯が日本でも輸入されているので、大カシュガイ族の中の一支族(タイフェ)である
アーマレ族・カシュクリ族・シェシボラキ族など聞いた事があるかもしれません。大きなカシュガーイ族の下部構成要員と
言い換えられるかもしれません。
著者のBrian W. MacDonald氏はロンドンの郊外で絨毯屋を営んで居ましたが、ここまで専門的な内容の本を
出すという熱意には驚かされます。
もちろんJAMES OPIEの『TRIBAL RUGS』は考古学的資料に基づいた歴史的部族絨毯の派生と、
その文様における共通意識を素晴らしい内容の絨毯を例えに紹介した内容ですが・・・。

JAMES OPIEの『TRIBAL RUGS』
JAMES OPIE著『TRIBAL RUGS』

また上の2冊に刺激を受けたわけではないだろうが、部族絨毯(トライバルラグ)研究の第一人者である
Jon Thompspn氏はその数年後に、イランを代表する民族写真家 カシュライヤン氏の素晴らしい写真を
満載し、大英帝国からの流れである中東地域の大民族学者Richard Tapper氏などの世界各地のそうそうたる
民族&民俗学者のテキスト編纂した大書『THE NOMADIC PEOPLE OF THE IRAN』を出すに至ったようです。

この内容については、絨毯・キリムとは関係ない部分も多いが、まずはカシュライヤン氏の写真が素晴らしい!
現在大変にお世話になっている方が翻訳に取り組まれているので、そのうちに一部を紹介したいと考えています。

乞うご期待?
イランの遊牧民

1980年代の『HALI』マガジン

ロンドンから世界中のオリエンタルラグ&イスラミック・アートファンのために発行されている『HALI』という雑誌がある。
正確には『Hali – The International Magazine of Antique Carpet and Textile』という名称で、1978年春に創刊され現在の168号まで33年も継続している。
記念すべき創刊号vol.1はRug book.comという絨毯関係書籍の専門店では$750という価格がついているようだ。
この本を知ったのはこの世界に入った1987年から数年経った、1990年代だったと記憶しているが、
その後15年ほど定期購読していたが、新しい絨毯の広告や紹介が多くなり暫く購読を休止していた。

hali magazine

この本の表紙を飾る絨毯やテキスタイルというのは、マニアの間ではかなりのステイタスであり大げさにいえば、『TIME』の表紙を飾るほどの名誉ある?マスター・ピースという事になる。
ちなみに上の『HALI』の表紙は京都の夏を飾る祇園祭の山矛に掛けられる、絨毯であり、この号は祇園祭特集号として数々の祇園祭の懸装品が紹介されている。もちろん『HALI』のスタッフも祇園祭を取材し、これまでにあまり知られる事のなかった新事実なども記事にしている。
 <祇園祭りと絨毯>

そういえばそろそろ祇園祭もクライマックスを迎える頃だろう。

話がそれたが、ある方より1980年代の『HALI』マガジンを譲りうけた。『HALI』マガジン創生期の最も勢いの感じられる頃のものだ。
2005頃からボリューム感もかなり薄まって来たが、この時期は厚さだけでも現在の倍近くどの号もずっしりと重い。
またこの頃の欧米のマーケットの勢いがダイレクトで伝わるような、記事内容の濃さと掲載されている絨毯やテキスタイルの素晴らしき事!!!
現在イギリス、ドイツ、スイス、アメリカを代表する有力ディーラー達の広告として掲載されている絨毯(コマーシャル)だけ見ていても飽きないほどである。
例えば何度も紹介してるJames Opie 氏の表紙を飾るTimuri main rugがClive Loveless(ロンドン)の広告として販売されていたり、Jeff.boccher氏の『baluchi woven trasure』の表紙の鶏が美しいバランスで並ぶ、ホラサーンバルーチを代表するラグもドイツを代表するE.Herrmanのコレクションとして1985年に$3250で取引されたなど・・・・。円高の今なら購入出来たかも???などと思いは募る・・・。

timuri mainrug

baluch woven treasures

内容もクラシカルなイランやトルコの宮廷絨毯からトライバルラグ&ヴィレッジラグへの関心の移行が見て取れる。
トライバルラグの確かな地位を築いた、Jon Tompson氏による『Carepet Mgic』の出版など話題にも事欠かない。
欧米のマーケットが、こうした確かで熱意あふれる情報とたくさんのディーラの集まる展示会、フェア、オークションなどの
リアルマーケットの両輪が連動することで成熟していったのだろう。
トライバルラグ&キリムマニアには夢のような1980年である。

羊毛文化を知るための本1.(遊牧民について)

ここで、日本語で読める遊牧民&羊毛文化についてのお奨めの本をいくつか紹介したい。いくつかは、かなり学術的な専門書であり、充実したフィールドワークに基づいた調査と研究書である。海外の研究と比較してもかなりレベルの高い内容である。惜しむらくは遊牧民の基層文化といえる羊毛を最大限に加工&利用した毛織物についてほとんど触れられていないという部分だろうか・・・。

狩猟と遊牧の世界

ムギとヒツジの考古学

梅棹忠夫先生の『狩猟と遊牧の起源』はまさに遊牧の起源と発達を知るうえで欠かせない古典的名書。何度読み返しても新たな発見と深い洞察による遊牧とはなにか?を教えてくれる。遊牧民の生活の基盤であるヒツジという家畜を銀行の財産に例え、羊毛や乳製品が利子と同じ役割を果たすという解説は大変に解りやすく、目から鱗の納得である。

藤井純夫先生の『ムギとヒツジの考古学』も西アジア(オリエント)文明の発祥の基層となった旧石器時代からの人々の暮らしと生活様式発達からを『ムギとヒツジ』に例え入念な調査&分析から考察された研究は世界的にも例を見ないものだろう。前半の西アジア地域の自然環境や気候などの『風土』から見た遊牧民の発祥と発達はこれまた大変に納得であった。ヒツジの毛を刈るための石器(スクレイパー)の発掘と調査研究は風化してしまう羊毛製の毛織物が幅広く、多数織られていたことを裏付ける貴重な使用といえるだろう。

ツ黴€

遊牧という文化

西南アジア遊牧民記

ツ黴€

ここ30年ほど非常に不安定で入国すら困難なアフガニスタン~パキスタン西部のパシュトゥーン族やバルーチュ(バローチ・バルーチ)族のキャンプや村へのフィールドワークを中心に遊牧といは何か?を追求し、『文化としての遊牧』という定義を確立した、最新の遊牧民研究書である。

『西南アジア遊牧民族記』は2000年10月13日に千葉県にある歴史民族博物館より、『遊牧という文化』は2001年1月1日に吉川弘文館より発行されている。同年の9月11日には同時多発テロ事件が発生しこの地域を含む世界のパラダイムが大きく変化する直前であった。王政が崩壊し一度社会主義国家に振れてから、ソ連軍の侵攻、軍閥による割拠、つかの間のタリバン支配という激動の時代にあったアフガニスタンに潜入し別名アフガン族といわれる最後の遊牧民パシュトゥーン族やバルーチュ族と生活を共にした筆者の遊牧民論はたいへんな説得力がある。

『西南アジア遊牧民族記』では、遊牧生活の中心となる、家畜、乳製品、カラクルなどの高級羊毛の機能や流通などの経済的側面を詳細にしることが出来る。一方『遊牧という文化』ではさらに深く遊牧民を追求し、遊牧民の定義から移動の必要性、多様な暮らしぶり、イスラム地域に於ける遊牧民の宗教観などを踏まえて、遊牧を文化として多方面から分析している。彼らが何ゆえに移動するのか、移動という生き様に現代社会を照らし合わせた締めくくりは読み物としても読み応えある内容である。読んでいると、彼らと共に旅がしたくなってくる。

トライバルラグを知る。本の紹介

気軽に見て楽しめるキリムの使ったインテリア洋書や国内のムックをはじめ、テキスタイルアートの研究家による専門書まで、キリムやトライバルラグをお好きな方なら、是非一度はご覧いただきたいものを厳選してご紹介しています。

定番のおすすめ書籍

数多い欧米の専門書のなかで個人的な思い入れのある本を紹介していきます。どの本も、綿密なリサーチ、美しい写真、そしてキリムやラグ、テキスタイルに対するあくなき愛情に満ちた本です。アマゾンへのリンクも出来ますので、興味のある方は御利用下さい。
また、こちらにお譲りできる本もありますので、お問い合わせ下さい。

IMAGE0026

The Textile museum Washington DC  Edition Jon Thompson &etc.

    ワシントンにあるテキスタイル美術館が展覧会の図録として編集したトルクメン絨毯に関する専門書。
    この図録では定住しているトルクメン族によって織られた絨毯群をブハラカーペットとして分類している。同時に遊牧トルクメンの特徴的な絨毯・袋物・婚礼用の道具など等をどれもが名品といえる素晴らしい内容のものを紹介している。巻頭には美術館での展示らしく民俗学的なアプローチがまとめられ、かつての遊牧生活の様子などを紹介している。巻末では染料を化学的に分析する等、これ一冊でトルクメン学を習得できそうな内容になっている。最近は絨毯本ばかりを取り扱う、専門書店にも無いらしく入手は難しくなっているようだ。
    この本は以前借りていた世田谷区の事務所のビルの隣にあった中古レコード店に入った時に入手したものである。値段も考えられないほどリーズナブル。こんなことが有り得るのかというぐらい不思議な話だが、絨毯ではなく絨毯本が飛んできたということなのだろうか・・・。

livingwithkilims
LIVING WITH KILIMS・・・Alastar Hull&Nicholas Barnard共著 1988年初版

ロンドンのThames&hudson社から出版されているインテリアとしてキリムを楽しむ決定版。 何度見ても見飽きないキリムのインテリアとしての実用例が床・壁そしてユニークな使い方をふんだんに見せてくれる。 おそらく実際のコレクターや愛好家のお宅をまめに訪ねて時間をかけて撮影したのだろう。 一枚一枚のキリムも素晴らしくまた、使い方のセンスとアレンジの妙はさすがというしかない。 キリム以外の調度品も圧巻で、椅子・絵画・デコレーションにも行き届き見るたびに新発見がある。 著者のAlastar Hull氏はのちに「Kilim conplete guide」というキリムについての総合書を出すほどのキリム通でもある。

livingwithdecokilims
Living With Decorative Textiles: Tribal Art from Africa, Asia and the Americas・・・Nicholas Barnard&James Merrel(photo)著 1989年初版

Living with Kilimsとほぼ時を同じくして出版された世界の手織り布をインテリアにアレンジした実例集。世界各地の布の紹介とそれらをどのように楽しむかを,、余すところ無く美しい写真とともに紹介している。キリムを床に敷いて壁には布をかける。単純なようだがそこには住まい手のセンスや教養などの様々な情報が見て取れる。どの空間からも伝わってくるのは住まう人がいかにキリムや布を知り、それを気に入っているかだ。だからこそ見る側も楽しくなり、そんな空間に憧れる。それにしてもアジアやアフリカ、中南米の布やキリムはなんと欧米諸国に親しまれていることか・・・・。

carpetmagic
Carpet magic・・・Jon Thompson著 1983年初版

この本は1983年Londonにて行われた展覧会の図録としてまとめられたものである。絨毯についての世界的な絨毯研究会”ICOC”がロンドンで開かれた記念の展示会のためにまとまられたが最初。後に「the art of carpets from tents cottage and workshops of Asia」という長いタイトルが付いた本として正式に出版される。この2冊の本はテキストの内容はほぼ一緒(一部追加)だが、中の写真はかなり違っている。図録として出された「Carpet magic」には紹介されている絨毯やキリムの写真の末尾にそれぞれ誰がコレクションしたのか、所有しているのかのクレジットが付いている。内容は長くなるのでここでは触れないが、絨毯好きとして最も影響を受けた本であることには間違いない。じゅうたん好きの仲間と一緒にメインの部分を翻訳したので、いつか紹介してみたい。

baluchiwoventresure

Baluchi Woven Treasures・・・Jeff W Boucher コレクション1989年

コレクターの中のコレクターと評されるBoucher の例を見ない今後二度と出来ないであろうコレクションである。世界中の部族絨毯マニアの間でもこれほどのコレクションは最初で最後だろうといわれている。バルーチマニアとしては大変に複雑な気持ちになる本である。30年位前ならこんなに素晴らしいバルーチがあったのか・・・。という落胆とこんなに素晴らしいものを知ることが出来るだけで幸せ。という思いである。とにかく凄い、実物を見てみたい。の世界である。このコレクションを支えたのは、欧米に於ける「Tribal Rug Feaver=トライバルラグ熱」の高揚と、それを過熱させた「HALI」「Oriental Rug Review」などの雑誌や有名な「アリババクラブ=Hajji Babas Society」などの愛好者クラブによる啓蒙活動がリンクしていたからに他ならない。ああ羨ましい…。奥深く、神秘的、洗練されながらも野蛮なにおいするバルーチの世界を堪能できる一冊です。

books01

遊牧民に魅せられて・・・~松島きよえコレクションの染織品と装身具~ 文化服飾博物館図録

故松島きよえさんは、1994年にインドを調査研究に訪れている際にバスの事故により亡くなられました。
このコレクションは彼女の死後数年経ってから、彼女を慕う人々の熱い思いと協力により文化服飾博物館という絶好の場所にて開催された貴重な展示会の図録です。松島さんはまさに遊牧民のように西南アジアからトルコ~アラブ世界を駆け回り、御主人がWHOのドクターというフリーパスポートを駆使してフィールドワークと染織品の収集に人生を賭けた方です。
この地域のキリム・絨毯、民族衣装に関する日本語で書かれた本が少ないだけに貴重な資料です。同時に松島さんがフィールドワークのなかで書きとめた取材ノートなども興味深く、彼女の足跡をたどれます。
ちなみに1988年には渋谷の松涛美術館で「中近東の染織」という展示会をされ多くの敷物コレクションが展示されたのですが、そのコレクションは東京博物館のアジア館が収蔵しています。

books02

西アジア・中央アジアの民族衣装 -イスラームのベールのもとにー 文化出版局 文化学園服飾博物館編 2006年発行 ¥1905

当時服飾博物館の館長をされていた、シルクロード染織の第一人者道明美保子先生を中心に手仕事系の雑誌で伝統のある「銀花」編集部の田原さん、博物館学芸員の村上さんなどが協力して出来上がった服飾・染織を知る絶好の入門書といえるでしょう。
この背景には文化服飾博物館がパレスチナ・ヨルダンなどの民族衣装の優れたコレクションと松島コレクションなどを所有していることと、この地域の専門の研究者の存在があげられるはず。
また2001年の9.11以降に起きたアメリカを中心とした欧米地域とイスラム圏の対立構造、次いで起きたアフガン空爆~イラク戦争により日本でもイラクやアフガンの悲惨な状況が連日報道され、多くの日本人がイスラム圏とは何なんだろう?「テロリストの本場でいつも戦争している国?」という偏った情報しか流れてこない。
そんな多くの人々にイラクでは、アフガニスタンには、パレスチナにもこんな素晴らしい染織文化が存在してた?のに・・・。
ひとりでも多くの人がこの本のなかにある美しい手仕事を見て「イスラムのヴェールのもとに」何かを感じてくれるのではという思いがあったのではないでしょうか?コレクション、解説共に内容のあるお奨めの一冊です。

books03

絨毯とタピスリー・・・読売新聞社 1985年

当時としては画期的な企画だったと思われる、大手新聞社から発行された豪華な雑誌です。
バブル到来の先駆けとなる時代背景から、驚くほど高価であったペルシア絨毯からトルコ・アフガン・コーカサス・中国・ヨーロッパなどの地域別に有識者の情報を解りやすくまとめてある。今からみると少し恥ずかしくなるようなロマンチズムもあるものの、当時は平和だったアフガニスタンの写真や平山画伯、故井上靖氏によるシルクロード対談なども懐かしい。特に印象に残ったのは、当時の英国大使の公邸のインテリアで和紙のランプに和箪笥。壁にはアンコールワットのレリーフのモノクロ版画、敷物はマーシュアラブの刺繍布というなんとも折衷なものであり、この強烈な印象は今までにまったく触れたことのないエキゾチズムであった。
また当時の文化人を代表する一人、大島渚監督の和室に敷かれた大型の和段通の深い藍色も印象的。

books04

The Sofreh of KAMO・・・Parviz Tanavoli 1998年 Farhangsara Publication IRAN

イラン人ではSayrus Pharham氏と並んで部族絨毯研究者として名声を博しているParviz Tanavoli氏が彼を一躍有名にした名書「Bread & Salt=塩入れ袋とナンソフレ」の後に出版したのが 「The Sofreh of KAMO」です。
この本はイラン中央部から西部に連なる山裾の村KAMO地方で織られたアーティスティクなソフレだけを44枚集めている。Karkas山からの雪解け水で潤う小さなこの村は、日本で喩えたら長野県の小布施村のその奥にあるような情緒ある田舎の村という雰囲気であろう。近くにはこのところイラン人の間でも観光名所となっているAbyane村があり、その周辺はイランの、のどかな伝統的村々の雰囲気を保っている。
評判になった「Bread & Salt=塩入れ袋とナンソフレ」では、塩袋のコレクションが圧倒的で、ソフレは少し物足りなさを感じたのだが、Tanavoli氏もあたりは重々承知でこの本の企画制作に望んだのではないかと思われる。同時に当時大ブレイクしていた、Z社の「ギャッベ」に変わる新たな仕掛けとも読み取れなくはない。いずれにしても、オリジナルの「The Sofreh of KAMO=カモ ソフレ」は大変に面白く、個人的にも大好きなキリムである。
この本が出版されるやいなや、テヘランのマーケットから忽然と姿を消したThe Sofreh of KAMOは今頃何処にあるのだろう。
Tanavoli氏も解説の最後にオリジナルの「Sofreh of KAMO」は100枚から最大でも200枚程度しかないだろうと記している

books05

SEVRUGUNIN`S IRAN1999年 Barjesteh Zaman IRAN

サブタイトルに「オランダのライデンにある国立民族博物館所有の19世紀のイランに於ける写真集」とある。その名のとおり、ANTOIN SEVRUGUNINというカメラマンによって記録されたイランの記録であり、もちろんすべてはモノクロであるが、圧倒的存在感のある人々が写しだされている。
目次だけでも十分に堪能して頂けるのではないだろうか・・・?
1.個人とグループによる肖像(カジャール時代の王様や王族、親戚などのポートレイト)
2.ダルビッシュの肖像(イスラム神秘主義者の修行僧ダルビッシュのポートレイト)
3.乞食や貧者の肖像(旅芸人や動物使いなどのポートレイト)
4.日々の生活の記録(農村・遊牧民・バザール商人・物売り・阿片窟・絨毯織り)当時のイラン人の暮らしぶり。
5.異教徒・異民族そして異国からの人々の記録
(Chaldese=アッカド人、ゾロアスター教徒、ユダヤ人、アフガン人、クルド人、シャーセバン族、ルル人、トルクメン人などなど・・・。)イランに於けるマイノリティーの肖像。
6.町、村、そして山の風景写真

この本は和光大学のバローチ研究者の村山先生からお借りしている貴重な本ですが、最近イランで入手できるようです。
民族・旅・民俗・衣装・歴史・建造物・絨毯などなど・・・様々な見所たっぷりの写真集です。

「TRIBAL RUGS」の著者James Opie氏の記憶から

BIRD RUG


部族絨毯のバイブル「TRIBAL RUGS」の著者であり、トライバル・ラグやキリムの文様世界を独自のセオリーをもって切り開いたJames Opie氏のこの世界にのめり込むキッカケとなったコラムがOrientar Rug Reviw(ORR)に紹介されていた。「More Memories,Dreams,&Reflectuons」というタイトルの自筆によるテキストには彼の絨毯と出会いやそれを導いた人々との出会いが、つい昨日の夢のように綴られている。
もともと彼は歴史や地理を専門とする学校の先生であったようだ。教師としてイスラム文化特に宗教的建造物には興味を持っていたようである。
1969年にSan Franciscoにある Museumで行われた「From Bosporus to Samarkand」という展覧会に行ったことが彼の人生を大きく変えてしまう「出会い」となったようだ。そこに展示されていた歴史的なイスラム美術の建造物やモザイクタイルなど多くの写真や実物が彼の心にこれまでにない感動を与え,現在に残るイスラムの人々の生活そのものが深い根源的な美術として,彼の魂に響いたようである。絨毯はその縮小版であり、その中にイスラム美術の生き生きとした広がりと深さが籠められ、それがポータブルに完成されたモノである事を直感したようである。
これは彼のそれまでの深い教養と美術に関しての純粋なスピリットが、より根源的な世界と出会い「打てば響くような」感動を与えたのかも知れない・・・。

「From Bosporus to Samarkand」の展覧会の直後にGoodwill storeで彼にとっての「ファーストカーペット=出会いの一枚」となる19世紀後半のラクダの毛で織られたイラン西部のハマダン周辺の絨毯を入手したと記されている。そしてそこで知り合った「Lala」という女性との交流を通じ、ますます絨毯に魅せられて行ったようである。

『ORIENTAL RUG REVIEW』届きました。

オリエンタルラグレヴュ

昨年末オークションで落札した、「ORIENTAL RUG REVIEW」がやっと届きました。この雑誌はHALIマガジン程の知名度やボリュームはないもののマニアックな記事が多いこと、余計な広告が少なくコンパクトで、当然価格もリーズナブルなどなど、以前から欲しい絨毯雑誌でした。
偶然にまとめて売りに出ているのを見つけ入札したとこ、あまり競りあがることなく落札できました。ところが一月たっても連絡がなく、そのうちにクリスマス&ニュウイヤーの休み入り、これは無理かと思い始めた頃、成田の税関を通過したという連絡がありました。
待ち遠しかった30冊ほどが本日無事に届きました。
段ボール箱の中にはまずまずのコンディションの「部族絨毯情報」満載の雑誌30冊と、VOL1の1号もおまけでついていました。
なんとそれは藁半紙の学校新聞のようなモノクロの超素朴なNEWSPAPERでますます気に入ってしまいました。「絨毯好き」達の熱い思いがダイレクトに伝わるような感じでした。
これからシリーズで、「ORIENTAL RUG REVIEW」の記事からのコンテンツを紹介してゆきたいと思います。

「ORIENTAL RUG REVIEW」

東洋の絨毯

昨年ネットで探していた古い展覧会の図録を見つけ注文し代金を振り込んだのだが、そのあと、「申しわけないがその図録はもうなくお金はお返しします」というメールが届いた。

 探していたのは以前に紹介した故松島きよえさんの松涛美術館で行われた「中近東の染織」という部族のキリムや袋物などが、初めて日本で紹介された貴重な展覧会の図録であった。

同時にネットで見つけたのが「東洋の絨緞」という本で、作者はプレーベン・リーベトロウ氏というおそらくデンマーク人の書いた本であった。
          

1964年というと44年も前に大阪国際書房というところから津田寅之助さんの翻訳で出版されている。雰囲気からして相当マニアックな感じであるが一部のページの上部が切れていない。おそらく新古品で入手できた。
当時の価格で¥1500はきっと高価だったに違いない。150ページほどで、一気に読んでしまったが大変によくまとまった入門書で、是非ともこんな本が、今時、手に入ればと思う。
中でも初めて知った豆知識として、「新雪の上に絨緞を広げる。 裏を上にして注意深くパタパタたたく。そうするとパイルが雪の中に埋まる。すっかり叩き終わったらこれを持ち上げて雪を振り落とす。汚れがひどければこれを繰り返す。」北欧ならではの良いアイデアだと目からうろこ・・・。
昨日は東京も久しぶりの雪景色。
今日は一転してとてもよいお天気。
東京の汚れが少し綺麗になった気がしたのだが・・・。

遊牧民に魅せられて。『Josephine Powell&松島きよえ』

遊牧民の絨毯やキリムにほぼ同時期に魅せられ、世界各地を旅した二人の女性を紹介したい。
一人は今年の初めに亡くなった、Josephine Powell。彼女は最後まで冒険的で、生涯が旅の途中であったような人生を送ったといわれている。彼女は世界的に名の知れたカメラマンでもあった。もう一人はインドのグジャラート州での旅の途中、バスの交通事故で69歳という生涯を終えた松島きよえさん。彼女は生前『遊牧民研究家』という肩書きを持っておられたらしいが、先端的な創作ダンスを身に着けた舞踏家であった。
生前の二人を良く知る人達はから聞けば、二人とも大変個性的で遠くからでもすぐにわかる強いオーラのようなものを発していたらしい。そうとう個性的であったらしい・・・。
まずは、今年のICOCイスタンブールでも大きく取り上げられ、彼女の残した膨大な写真とキリムそしてそれにともなう遊牧民の民芸品の展示から紹介させていただきたい。


彼女自ら『 THE KILIM BUG』(キリム狂)と呼んでいたように、遊牧民とその暮らしぶり、そして彼女達の織るキリムにどっぷりとつかり、相当な時間を遊牧民と共に費やしていたようだ。
いつもタバコを手放さないチェーンスモーカーの彼女は、一般人=定住者にはあまり興味を示さなかったようで、インタビューなどでも時として人を煙に巻くような対応だったようだ。

それまでは、Jon・Thompson氏の本などで彼女の写真を知らずに見ていたのだが、イスタンブールのスイスホテルの会場には彼女の、知られざる多くの写真が展示してあった。その中で特に印象に残ったのが幾つかのモノクロの写真であり、おそらく50年以上前のアフガニスタンの風景や遊牧民、そして石仏などの写真であった。
上の写真はおそらくタイマニ族と思われる・・・。