IMAGE0037namakdan.jpg BY kashuraian photo
塩入れ袋についてこれまでに書いた内容が思い出せない。このHPについている検索機能で調べて見たがきちんとまとめている記事は見当たらなかった。
塩入れ袋(ナマクダン)とは遊牧民に欠かせない袋物で、その名の通り塩(岩塩)を保存・保管する為の入り口が細い形状(凸形)の袋である。

No1.ルル塩入れ袋スマック織り 19世紀

上の塩入れはかなり初期に入手いたものでたいへんに気に入っていたモノだった。味わい深い文様がスマック織りで表現されていて、タテ糸が袋の肩口からそのまま出ていたのが印象的だった。後になってこの肩口からそのまま出ているタテ糸の残りが重要な意味を持つことになるのだが・・・。(現在は岩手県にあるはずだ)

 この塩入れに興味を持ち始めたのは、もうずいぶんと前で最初は何故このような形をしているのかわからなかった。素朴な疑問として何ゆえに入り口部分が細くなっているのかということ、イランでもなんとなく聞きそびれていた。
塩を入れる袋だということは知っていたが、この壺のような形状に何の意味が隠されているのかが、長い間の不思議であった。袋の入り口はどの袋も大きさの多少違うがほぼ人間の腕が入る程度の広さになっている。
展示会などで、冗談で「この袋は一体何を入れるものでしょうか?」世界不思議発見で~すのような、他愛無い会話もずいぶんしたように記憶している。そして不思議とその袋を手に取った人々の多くが何気なく、袋の入り口に手を突っ込んで試してみるような様子をされる。この袋を手にすると何故か袋に手を入れてみたくなるオーラが出ているように思えてくる。確かにこれまでに扱った塩入れ袋は長年の遊牧生活において繰り返し繰り返し手を入れて塩を取り出してきたのだろうと想像できる。

No.2.シャーセバン族 パイル19世紀 


No.2.シャーセバン塩袋の裏面

このパイルの塩入れもとても気に入っていたが、入手してあっという間に塩袋収集家のコレクションになってしまった。色合いといい、裏表の極端な違いといい、シャーセバン族にはめずらしい塩入れ袋といい、さらにそれがパイル構造という希少性といい、愚痴っぽくなってしまうが、とにかく気に入ったモノだった。

いくつかの塩入れ袋を見ているうちにふっと閃いたのだが、この塩の量は人が調理用に使用するには多すぎるのではないだろうか?どこの家にも調理用や漬物用など塩は必ずあるはずである。人は塩分をとらないと生きてはゆけない動物だからだ。かといって塩分を取りすぎると高血圧や様々な成人病の原因となるようで、盛んに「塩分控え目」などという広告を目にする。話がそれたが、遊牧民にとって塩とは人のみならず家畜のためにあるのではと閃いたのである。特に家畜である草食動物は肉や魚という塩分を含む食物を摂取しないため、食べ物からの塩分吸収が難しいらしい。そこで特に夏場などの暑い時期には塩分が大量に欲しくなるようだ。

No.3 ルル族? 塩入れ袋 パイル

 この塩入れもコレクターのところにあるが、30X50cmほどの小さなこの袋モノに、無限な広がりが感じられる気がするモノだった。この不均一な菱形文様の配列は一体何なのだろう。時々こういう頭では理解できないセンスに出会うことがある。

そこで遊牧民が大量に保管する塩は、動物にも時々与えられ同時に動物をコントロールするのにも使用されるのではないだろうか?という推測でああった。となるとこの入り口が細くなっている凸形は動物の口が簡単に入らないような、家畜である馬やロバ、羊、山羊、ラクダなどから塩を守るためにあるのではという考えが降りて来た。この「アハ体験」のような直感がこの塩入れ袋に対する「思い入れ」をさらに強くした。

No.4ブーラフィー族 塩袋 紋織り

 この塩入れもたいへんに個性的な表情をしている。塩入れ本体もさることながらこの過剰な装飾品の紐と毛房飾りのため、かなりの重量感がある。見た目にもおどろおどろしい雰囲気をかもし出している。これも絨毯織りを趣味とする、マニアック℃かなり高めの方の玄関の魔除け飾りとなっているらしい。

この塩入れ袋たちは、まさに遊牧民に必要不可欠な塩を家畜から守り、それ自体が魔除け(御神体)的な意味を成すようにも思えてくる・・・。 つづく

Sorry, the comment form is closed at this time.

   
© 2012 tribe official site Suffusion theme by Sayontan Sinha